ステアリルアルコールの成分解説と安全性、役割

マッコウクジラ油に含まれる高級脂肪族の飽和一価アルコールです。
非イオン界面活性剤と高級アルコール系の油剤という2つの働きがありますが、水には溶けないという特性を持つところから、界面活性剤としての働きは弱いと考えられます。
他の界面活性剤や水と合成することで、使用前は粘性が高く、塗布した時には粘性が低くなるという特性を作ることができます。

脂肪酸と脂肪族アルコールのエステルで、マッコウクジラのほかツチクジラ油などに含まれており、鯨ロウから作られるものが主流でした。
しかし最近は天然の鯨からの採取が難しくなっており、パルミチン酸セチルなどによる合成が多くなっています。
乳化剤・保水剤・油剤・増粘安定剤として添加されます。
「アルコール」という名称がついていますが、エタノールのような水分蒸発性はほとんどありません。

皮膚科で処方される軟膏などにも使用されている成分で、通常は問題ないとされています。
また、日本医薬品添加剤協会によるラットによるデータでも、高濃度の添加でも毒性所見は認められなかったという結果が出ています。
しかし旧表示指定成分なので、刺激の原因となることがあります。
上記データでも皮膚一次刺激性があり、「軽微～軽度な刺激性」が認められていますから、肌が弱い方は注意しましょう。

乳化剤、溶剤、結合剤、コーティング剤として使用されています。
皮膚を薄い膜で覆うことで保湿効果が望め、ロウの特性から光沢を出したり感触を良くしたり、色を白っぽくする作用があることから、乳液やクリームによく配合されます。
トリートメントやコンディショナーにも、髪の滑りをよくしたりツヤを出したりする目的で使用されます。